相続が発生し、故人に借金がある場合、相続人は返済する義務があります。では税金を滞納していた場合、どのような対応をする必要があるのでしょうか。
当記事では所得税や住民税、固定資産税などの税金を実際に滞納していた場合の納税義務の所在や対処方法についてポイントをおさえて解説します。
目次
税金の支払い義務は相続人に承継する
相続が開始した時に配偶者や子供など財産を相続した者は法定相続分を基準に財産を取得する権利を有するとともに生前に負っていた借金など債務を返済する義務も引き継ぎ相続人が払うことになります。被相続人が所有していた土地の固定資産税などの税金を滞納していた場合、税務署から相続人あてに支払いの請求が来ます。
国税や地方税は督促の手紙が届いているにも関わらず、自分が支払うべき税金ではないと考え放置する人もいるかもしれません。相続人には納税義務がありますので、期限を守らず長く延滞した状態が続き対応しないと最悪の場合、税金を徴収するために給与等の差押さえや不動産などを競売にかけられ換価されるなど、自分の財産を差押さえられる事例もあります。
相続放棄をすれば支払い義務は免れる
相続人は相続が発生した後に税金が残っている状況なら支払う義務がありますが、相続放棄をした場合、相続財産を承継する権利を失い遺産の分割にも不参加となりますが、債務の返済義務や税金を納付する義務もなくなります。大きな借金がある場合は家族が相続放棄をすることも選択肢の一つといえるでしょう。
放棄をする場合は家庭裁判所に3ヶ月以内に相続放棄をする旨の申し立てを行う必要があります。相続放棄をすると債務を引き継がないというメリットはありますがすべての財産を相続する権利を失います。相続放棄をする際は所有権を有する不動産などの財産を調査したうえで預貯金や株式など各財産を一覧にし、しっかりとプラスの財産とマイナスの財産の額の合計を計算してから検討して判断するようにしましょう。
注意点としては自分が放棄をすることで、他の相続人に負担がかかる負担の割合が大きくなる可能性があります。期限を過ぎてから知った場合、問題となり、関係が悪化する可能性がありますので、他の相続人に確認を取らずに放棄の手続きを行わないようにしましょう。
他にも限定承認という方法があり、プラスの財産の範囲で債務の負担をするという方法です。限定承認は相続人全員で共同して行う必要があるため、それぞれの意見を合わせる必要があります。
ただし、手続きをする前に不動産を売買するなど財産を処分した場合は単純承認したとみなされ、相続放棄や限定承認をすることはできません。
相続税がかかる場合もある
相続が発生した時点で被相続人の課税対象の遺産の合計が基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)を超える場合、相続税の申告と一括での納付が必要となります。被相続人自身に滞納がなくても相続人が申告を怠った場合、税金の滞納となりますので、注意しましょう。相続税は被相続人が死亡した翌日から原則10ヶ月以内と短い期間で資産の評価と相続税の申告書類の作成と納税を行う必要があります。期限を過ぎてしまうと節税ができる特例が利用できなくなる場合や、加算税の負担がかかる場合もあります。
一般的に自宅がアクセスの良いエリアにある場合、家の土地・建物を受けるだけで相続税がかかる場合もありますので、注意が必要です。相続税の申告は財産の配分も決まってから計算を行う必要がありますので、法定相続人全員の協力が必要です。相続人が多い場合は早めに手続きを進めるようにしましょう。
相続手続きにお困りの場合は専門家に相談を
相続の知識が無い人は慣れないことも多く、亡くなってから遺産分割の協議や不動産の登記や金融機関の名義変更の手続き、相続税の申告で相続人が困るケースや相続人同士でトラブルになる事例も多くあります。相続放棄などデメリットも大きい制度を利用する場合は、専門家とも相談し決断した方がよいでしょう。相続手続きで不明な点がある場合は、司法書士や弁護士、税理士など専門家に相談し、解決することが可能です。
初回の相談は無料で対応してくれるケースが多いので、まずは気軽に電話やメールなどで気軽に連絡してみることをおすすめします。専門家にサポートを依頼することで安心して手続きを進めることができるでしょう。