親などの相続が発生すると、通常は死亡届を提出し、相続を行った後に年金事務所での年金の受給停止の届出や電気・ガス・水道などのライフライン以外にもさまざまな手続きを行う必要があります。しかし、何から始めていいかわからないと言う方も多いでしょう。
当記事では身内が亡くなった時に故人の財産を相続するにあたってどのような順番で手続きをすれば良いか、おおまかな流れや注意点をポイントをおさえて解説します。
目次
財産を調査する
親などが亡くなった後でまず行いたいことは各種財産の調査です。誰が何を相続するか、遺産の分割の検討から始める人も多いですが、相続財産の内容と額を確認してから遺産分割協議を行わないと、話し合ってせっかく結論が出た後に一部でも別の財産があることが発覚すると再度やり直しになる可能性があります。また、生前に現金を受け取っている場合、特別受益として、相続財産に繰り戻されます。
そのため、話し合いをする前に金融機関の口座などから故人名義の財産を調査して預貯金、株式等の有価証券、土地・建物、金などの現物資産や借金やローンなどマイナスの財産もしっかりと把握し一覧の表にするようにしましょう。また、死亡保険金が払い出されるタイプの生命保険を契約している場合は忘れずに請求することも大切です。
所有していた財産を調査した時点で預金の残高や株式、不動産など課税の対象となるプラスの財産の評価額の合計からマイナスの財産をを差し引いて財産の総額が基礎控除を超えている場合、税務署に相続税の申告をする義務が生じ、申告書を提出のうえ、現金で一括で納付する必要があります。
基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行います。生前贈与をした金額が加算される場合もありますので注意が必要です。相続税の申告期限は亡くなった翌日から10ヶ月ですので期限も意識して早めに手続きを進める必要があります。また、各種控除で相続税が0円になる場合でも基礎控除以上の財産がある場合は、申告が必要となります。
申告を怠った場合、税務署から通知が来て加算税といわれる高額の税金が請求される可能性もありますし、利用できなくなる特例もありますので、必ず正確に期限内に手続きを行うようにしましょう。
また、被相続人が確定申告を行う必要がある所得がある場合、財産を引き継ぐ者がかわりに準確定申告を行う必要があります。準確定申告は相続開始から4ヶ月以内に行う必要がありますので、関連する手続きよりも先に行う必要があります。
遺言書の有無を確認する
財産内容の調査が完了したら次は遺言書の有無を確認するようにしましょう。近年は終活が一般的となり、配偶者や子供など親族の負担を軽減するために生前の対策として遺言を作成して用意する人も増えています。
遺言の作成方法には公正証書遺言と自筆証書遺言があります。公正証書遺言は公証役場で保管されていますので被相続人が作成している可能性がある場合は公証役場に確認してみるとよいでしょう。
自筆証書遺言の場合は自宅に保管されているか法務局で管理しているケースもあります。自分自身で作成し、自宅で保管していた場合は速やかに家庭裁判所で検認が必要となります。亡くなる前に妻などが遺言書の存在や保管場所を知っていた場合はスムーズに手続きができるケースが多いですが、相続が開始してからかなり時間が経過してから遺言書など関係書類が出てきた場合、かえって混乱するケースもあります。また、法律上、正しく記載されていない場合は不備となり無効となる可能性もあります。
相続人を確定し、分け方を話し合う
遺産の内容が確定し、遺言書が作成されていなかった場合、相続放棄をした人を除き、必ず相続人全員が参加して話し合ってそれぞれが何を相続するか決めることになります。全員で合意をしないと次には進めないため、一人でも反対をしていると手続きを進めることができません。
民法で定められている法定相続人を法的に証明するために、出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本が必要です。法定相続人がわかっている場合でも手続きに必要ですので市区町村役場で取得しておくようにしましょう。
法定相続人全員で話し合った結果を遺産分割協議書に記載します。スムーズに配分を決めることができれば問題ありませんが相続人同士で争いとなるケースも多くあります。
遺族同士でトラブルとなった場合はその後で解決することは大変な労力がかかります。弁護士を入れての話し合いや家庭裁判所での調停や審判が行われることになります。
遺産の配分の手続きを行う
分け方が確定し、遺産を受けられる状態になったら、実際に名義変更の手続きを行います。不動産は法務局で所有権移転の登記を行う必要があります。
また、預貯金や株式を預けていた銀行や証券会社の名義変更や解約の手続きも行う必要があります。金融機関によって手続きは異なりますが、戸籍謄本や金融機関所定の用紙に記載する必要があります。
困った場合は専門家に相談を
相続の手続きは普通の人は何度も経験することではありませんので知識が無いのは当然です。遺産の配分や名義変更の手続きなどにお悩みがある場合は相続に関する手続きを業務として行っているプロである弁護士や司法書士など法律の専門家に相談し、適切に対処するようにしましょう。
また、平日は仕事などで対応ができない場合、司法書士などに依頼した手続きを代行してもらうことも可能です。費用はかかりますが専門家に依頼することで安心して手続きができるというメリットは大きいでしょう。
また、相続税は被相続人の死亡後10ヶ月以内と短い期間で書類の作成と納税を完了させる必要があります。
相続税の計算が難しい場合は税理士に申告書の作成をサポートしてもらうと良いでしょう。
初回の相談は無料で対応してくれるケースが多いので気軽に相談することをおすすめします。