前妻の子の居場所が分からない場合の対処方法とは

相続が発生すると法定相続人全員で遺産分割の話し合いを行う必要があります。しかし、居場所がわからない不在者がいる場合、話し合いができず手続きを前に進めることができません。

特に離婚しており前の妻との間の子供がおり居場所が分からない場合、どのように手続きを進めたらよいかわからないという方も多いでしょう。当記事では前妻の子がいる場合の相続手続きの対処法や注意点についてポイントをおさえて解説します。

目次

前妻の子は相続権がある

離婚をした前妻の子は再婚してできた後妻の子とそれぞれが同じ親子の関係であり、父親から遺産を相続する権利があり法定族割合も同じ割合となります。そのため、親の財産について遺産分割協議に参加してもらい、配分方法について合意してもらわないと手続きを進めることができません。誰か1人でも手続きに協力しない人がいると手続きが完了しないのです。

連絡がつかないからといって勝手に相続放棄をしたことにして財産を配分してしまうと発覚した時に後から問題になり、遺産分割協議は無効になります。法定相続分の遺産を請求される可能性が高いため、前妻の子にも財産の内容や配分について説明したうえで納得してもらい、注意しながら手続きを進める必要があります。

また、前妻の子は遺留分もあります。遺留分とは配偶者や子に認められている、最低限の遺産を必ず受け取ることができる権利です。

前妻の子を探す方法

父が亡くなって、前妻の子に連絡を取る必要が生じても、ずっと別に暮らしていた異母兄弟の連絡先がわからないというケースも多くあります。そのような場合は、相続手続きに必要な戸籍を取得していくことで住所を調べることが可能です。

金融機関の名義変更や不動産の登記をするために生まれてから亡くなるまでの間のすべての戸籍と法定相続人の現在戸籍が必要となります。戸籍には住所は記載されていませんが、戸籍の附票や住民票を取得することで、相続人の住所を確認することができます。

住所が特定できれば、自身や他の家族の電話番号やメールアドレスなどの連絡先や遺産相続の話し合いが必要となることを記載し、手紙を送ることができます。

事前に遺言を作成しておくことが重要

前妻の子がいる事例で、後妻の子と関係が希薄な場合、被相続人が死亡してから前妻の子どもの現住所を調査したり、配分を決めることは非常に大変です。そのため、事前に遺言書を作成し、配分を決めておくことが有効です。また、遺留分を侵害した遺言を作成すると、遺留分を請求されると遺言の内容通りに配分することができないため、遺留分を侵害しないようにすることも重要です。生前贈与をしている場合は、特別受益も含めて遺留分について考える必要があります。また、生命保険の死亡保険金は原則、遺留分や法定相続割合の算定対象外となりますが、財産の大半を生命保険にしているケースなどは遺留分の算定に含めるという裁判例がでたこともありますので慎重に判断する必要があります。

遺産の分割をする際に兄弟間でのトラブルを避けるために遺言を作成する際に執行者を決めておくことも重要です。執行者とは遺言の内容を実現するために名義変更等の対応をする人のことです。遺言者を定め、遺言書に記載しておくことで、専門家に手続きをしてもらうことができるのでスムーズに手続きをすることができます。費用はかかりますが、執行者には被相続人の法定相続人だけでなく、司法書士などに依頼することも可能です。第三者に依頼することで疎遠な兄弟姉妹同士で連絡をとりあわずに手続を進められるというメリットがあります。

遺言の形式は自筆証書遺言と公正証書遺言があります。もちろんどちらでも法律上有効な遺言となりますが、自筆証書遺言の場合、所在がわからなくなるなど管理の問題や相続発生後に検認が必要となります。確実に有効な遺言を残す場合は公証役場を利用して作成する公正証書遺言の方がよいでしょう。財産の内容や考えが変わることもあると思いますが、遺言の内容は随時変更することができるので、まずは今の状況で作成しておくことが重要です。

前妻の子がいる場合の相続手続きは専門家に相談を

前妻の子がいる場合、トラブルに発展すると弁護士を交えての話し合いが必要になるケースも多いです。話し合いでは解決できず、家庭裁判所での調停や審判が行われることも多く、事前に遺言を作成しておくことが重要です。しかし、遺言を作成せずに相続が開始してしまった場合でも、しっかりと前妻の子と話し合いをすることで手続きを進めることができます。

相続手続きは慣れていない人が多く知識も経験も不足しているのが当然です。自分で手続きをすることが難しい場合は司法書士等、相続のプロにサポートを依頼して進めるほうがよいでしょう。初回の相談はサービスで無料で応じてくれるケースが多いので、まずは電話やメールで気軽に連絡してみることをおすすめします。

また、財産の額が基礎控除以下の場合は相続税の心配はありませんが、基礎控除を超え、相続税の申告が必要な場合は相続発生の翌日から10ヶ月以内に相続税を計算のうえ税務署に申告書を提出し、納付を完了させる必要があります。期限が短いため、相続発生後すぐに手続きに取り掛かる必要があるでしょう。

相続税の申告は土地や建物、預貯金や株式などすべての相続財産の一覧を作成し、各財産の評価を行ったあと、各人の配分に応じて計算するという流れで行います。相続税の制度は複雑ですので、財産の評価や特例が活用できるか判断できない場合も多いでしょう。短い期間で確実に手続きを完了させるために相続関連の実績が豊富な税理士事務所に進め方を相談した上で書類の準備等を行った方が良いでしょう。

 

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