相続が発生すると、預貯金、株式、不動産などあらゆる資産の配分を決める必要があります。特に家賃収入がある不動産を保有している場合、どのように分ければ良いか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
当記事では賃貸に出しいており家賃収入があるアパートなどの不動産を配分する際にはどのような点に気をつければ良いのか、具体的に注意点や相続する際のポイントを解説します。
目次
- 相続財産の配分は相続人全員で協議が必要
- 収益不動産を配分する際の注意点
- 準確定申告が必要
- 不公平が生じる
- 共有にすると後々、問題となるケースがある
- 納税資金の確保
- 相続税の計算が複雑
- 相続のお悩みは専門家に相談を
相続財産の配分は相続人全員で協議が必要
遺言書が作成されているない場合、相続人全員で話し合いを行い、誰が何を相続するか決める必要があります。財産の配分は法定相続割合を基準に配分しますが全員で合意することができれば、必ずしも法定相続割合通りに分ける必要はありません。
収益不動産を配分する際の注意点
親等が亡くなり、遺産相続が開始した際に、家賃収入がある収益不動産を保有していた場合どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。
準確定申告が必要
被相続人に所得があった場合、所得税を納めるために準確定申告が必要です。準確定申告は被相続人が亡くなった翌日から4ヶ月以内と非常に短いため期限に間に合うようにすぐに準備を始める必要があります。
準確定申告の対象となる期間は1月1日から亡くなるまでに得た収入と定められています。複数の収入がある場合は、全て合算して申告する必要があります。
不公平が生じる
アクセスの良い場所にある収益物件は評価の額も大きくなります。亡くなった人の財産の大半を占めるような価値の大きな不動産がある場合、その不動産を1人が相続するとその分他の相続人の分が減り、不公平な配分となってしまいます。多くの場合、賃貸不動産があると法定相続分に近い遺産を相続できない相続人がでてしまいます。
財産のbで遺産分割協議が成立せず、家族同士でトラブルが発生した時は弁護士を交えて家庭裁判所で調停や審判が必要となる事例もあります。
共有にすると後々、問題となるケースがある
価値の大きな収益不動産を1人に相続させることで不公平が生じてしまうため、共有で相続するケースも多くあります。
例えば子供2人で相続した場合、売却や修繕などは持ち主である2人が納得しないと行うことができません。
また、さらなる相続が発生した場合、所有者が増えお互いの関係も疎遠になるため意思統一がさらに難しくなります。
不公平を避けるために共有にせざるを得ないことも多いとは思いますが後々、問題とならないように相続した後に方針について話し合っておく必要があります。
納税資金の確保
相続で財産を受け取ると、それぞれが取得した財産の額に応じて相続税がかかります。
家賃が定期的に入る不動産は、物件によっては財産的な価値が大きいため、相続税の負担は大きくなりますが一括で現金を受け取ることができるわけではありません。
そのため、不動産を相続するものの、現金をあまり相続しない場合は自身の財産で相続税を納税する必要が生じるケースがあります。どうしても納税できない場合は期限を伸ばしてもらう延納や不動産で納税する物納、売却して納税するなどさまざまな方法があります。
しかし、相続税の期限は被相続人の死亡の翌日から原則10ヶ月以内と期限も短いため、相続発生後決めることは難しいでしょう。できれば家賃収入を貯めておき、110万円以下の範囲で贈与して確保しておくなど事前の対策をしておくようにしましょう。
相続税の計算が複雑
収益不動産は土地と建物に分けて評価を行いますが、預貯金や株式などの金融資産に比べて財産の評価が難しく、相続税の計算が複雑となります。慣れていない人や書き方わからない人が、実際に他の手続きもある状態で短い期間で申告書を提出することは難しいものです。
もし誤って申告をした場合や申告漏れがあった場合は税務署から後で加算税を請求される可能性もあります。特に複数の不動産を保有している場合は、相続が発生する前に税金のシミュレーションを行うなど事前に準備を行い、相続税の申告期限に間に合うように早めに対応を始めるようにしましょう。事前にシミュレーションを行い、納付する額を確認しておくことで、節税対策もとりやすくなります。
相続のお悩みは専門家に相談を
相続税の計算は複雑です。収益不動産を保有している場合は通常よりも複雑となります。国税庁のホームページに財産の計算方法などは記載されていますが、慣れていない人が特例なども考慮して申告書を提出することは簡単ではないでしょう。
自分で申告することが難しい場合は税金の専門家である税理士のアドバイスを受けて手続きを進めることをおすすめします。税理士に依頼することで費用はかかりますが、確実に申告することが可能です。税理士の報酬は財産の額や内容によって決まることが多いので財産をまとめた一覧表を作って相談に行くと良いでしょう。
また、金融機関の手続や不動産の登記など相続の手続きは非常に複雑です。手続きについても、自分で行うことが難しい場合は実績のある司法書士などの専門家にサポートを依頼すると安心して進めることができるでしょう。
清澤司法書士事務所では初回の相談は無料でいたしますので、気軽に電話やメールなどで問い合わせください。