原野商法で購入してしまった土地のみを放棄することは可能?

親が生前に悪質な業者から勧誘され原野商法や詐欺的な手口で別荘の利用地などとして、宅地としてほとんど価値のない土地を高値で購入しているケースが多くあります。1980年代に土地を売りつける業者が増えたことで、騙されて被害を受けた人が過去に購入した土地を処分することが困難で保有し続けており現在でも大きな問題となっています。親が被害者となりそのような土地を保有していた場合、法定相続人が相続財産として相続することになります。

原野や山林は不動産としてほとんど価値がないケースが多いです。そのため、相続開始時の法務局での名義変更の登記の義務化により、相続の際に費用がかかることや処分や寄付することが難しく将来、長期間に渡って固定資産税等の税金や管理の負担だけが残り続ける状況となるリスクがあります。

原野商法によって取得してしまった原野を手放す方法はあるのでしょうか。当記事では原野商法によって取得した山林を手放す方法や注意するべきポイントを解説しますので参考にしてください。

目次

相続土地国庫帰属制度とは

相続した原野は相続土地国庫帰属制度を活用することで、手放すことができる可能性があります。相続土地国庫帰属制度とは相続した土地を国に引き取ってもらう制度のことです。

相続放棄をするとすべての財産を引き継ぐことができなくなりますので、預貯金や実家などの自宅不動産や価値のあるマンションを保有している場合も引き継ぐことができなくなります。しかし、相続土地国庫帰属制度を活用することで売れる見込みのない特定の土地のみを自分が相続せず、国に引き取ってもらうことができます。

相続土地国庫帰属制度の注意点

相続土地国庫帰属制度を検討する際にどのような点に気を付ければよいのでしょうか。重要な点を具体的に確認しておきましょう。

所有者全員で申請する必要がある

相続が開始したことにより、土地を取得した際に、兄弟姉妹や親戚等、他の所有者がいる場合は所有者全員で制度の申請を行う必要があります。売買で取引する際と同じように誰か1人でも反対し、応じない者がいると、国に申請することができません。

所有者や持ち分の情報は登記を観れば確認できますので、持ち主が不明な場合は登記簿で所有者を確認し、反対する人がいる時は話し合いで解決できるか事前に確認しておきましょう。

引き取ってもらえない可能性がある

制度の申請をすれば必ず国に引き取ってもらえるわけではなく、国の審査があります。土壌汚染や境界があいまいな場合、空き家などの建物が建っている場合等はこの制度の適用対象外となりますので、土地を引き取ってもらうことができません。

ただし、業者に境界の確定や測量の対応を依頼した場合でも結局、国には引き取ってもらえず、費用だけがかかると、結果的に原野商法の二次被害となってしまうケースがあります。業者にお金を支払う前にしっかりと内容を確認してから契約するようにしましょう。

相続のお悩みは専門家に相談を

今回は相続土地国庫帰属制度について解決しましたが、相続における問題は様々です。一度トラブルに発展すると、解決することは簡単ではありませんので自身の相続でトラブルになる可能性がある場合はさまざまな事例を経験している専門家に相談した方がよいでしょう。

相続が発生すると故人の年金や金融機関の名義変更手続きなどで忙しい中で遺産分割の協議や相続税の計算や、特例の書類作成も含めて申告手続きも行う必要があります。自分で行うことが難しい場合は税理士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門的な知識を持つ人に依頼する場合は費用が掛かりますので、後でトラブルにならないように条件なども事前に問合せて費用も確認しておくことをおすすめします。

清澤司法書士事務所では初回の相談は無料でいたしますので、気軽に電話やメールなどで問い合わせください。

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