相続が発生すると遺産分割協議によって遺産を相続人で配分することになります。しかし、遺産分割協議を終えてから故人の持ち物を片付けている時に遺言書が見つかった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
当記事では後から遺言が見つかった場合の対処法について解説します。
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遺産分割協議を終えていても遺言書が優先
遺産分割協議を終えている場合、遺産分割協議が優先すると考える人もいるかもしれませんが、遺言書が見つかった場合はあくまで、協議の内容よりも遺言が優先されます。遺言の効力に期限はありませんので、相続発生後何十年も経過してから見つかった場合でも無効となるわけではありません。しかし、遺言の存在が見つかったら時にはすでに引き継いだお金を使ってしまっている人もいるので、状況にあわせて対応をする必要があるでしょう。
また、遺産分割協議で決めた財産の分割方法に相続人全員が納得しているケースでは必ずしも遺言を優先する必要はありません。相続人全員が遺産分割協議で決めた内容で手続きをした方が良いと判断した場合は遺言書の内容とは異なる配分で決定することも可能です。
遺言書が発見されないと後からトラブルになったり、話し合いをやり直す必要があり、相続人には負担が大きくなります。遺言書を作成する際は相続手続きがスムーズに流れるように遺言書の存在を相続人のうち誰か一人には知らせておく方がよいでしょう。
また、金融機関の名義変更や不動産の登記などの手続きをする執行者を法律事務所の専門家に依頼することも可能です。親族以外の専門家に依頼することで、費用はかかりますが手続きをスムーズに行うことができるでしょう。
相続人の合意が得られない場合
遺産分割協議の後に遺言書が発見された場合、すでに財産の名義変更の手続きをしており、遺言書通りに戻せないこともあります。また、時間が経過してしまったことですでに遺贈された不動産など相続財産に居住している場合などは簡単にもとに戻すことはできないでしょう。また、第三者に遺贈する内容となっている場合などはそもそも遺言の内容に納得がいかないという可能性もあります。
相続発生後に新駅が開通し、アクセスがよくなったことで価値が上がっていることもありますし、逆に価値が大きく値下がりしている可能性もあります。そのため、状況によっては簡単にやり直しが効くというわけではないでしょう。
このようなケースでは相続人同士でお互いの言い分を主張し、遺言書通りの遺産分割で合意に至らない可能性もあります。話し合いで合意に至らない場合は弁護士に相談し家庭裁判所で調停や審判で最終決定をすることになります。お互いが意思を曲げない場合は、裁判所で決着することになりますが、負担も大きく、親族間の関係も修復することが難しいほど悪化する可能性もあります。
遺言書が見つかった場合は専門家に相談を
遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合、まずは司法書士など法律の専門家に相談することをおすすめします。公正証書遺言の場合は確実に有効な遺言となりますが、自筆証書遺言の場合は民法で定められた形式を満たしておらず有効な遺言とはならない可能性もありますので注意が必要です。
いずれにしてもすでに遺産分割協議が完了した後に遺言書が発見されたケースではポイントをおさえて適切に対処しないとトラブルになる可能性が高いので、専門家に相談しながら進める方がよいでしょう。
清澤司法書士事務所では初回の相談は無料でいたしますので、気軽に電話やメールなどで問い合わせください。