会社の社長が亡くなった時の手続きは?

会社の社長が亡くなった場合、個人の財産だけでなく、当然社長の後継者を決めるためにさまざまな事業承継の手続きを行う必要があります。

当記事では法人の経営者が亡くなった場合の手続きや注意点について解説します。

目次

後任の選任

取締役が複数いる場合は、代表取締役が亡くなると取締役の中から後任を選任することになります。しかし、取締役が一人の場合は相続人が代表者を引き継ぐかもしくは廃業するかを決める必要があります。

もちろん事業を引き継ぐ場合は業務を継続し、事業用資産と融資を受けている場合、債務を引き継ぐことになり、債権者に返済の義務を負います。一方で廃業する場合は事業用資産と債務を精算し、事業を廃業することになります。従業員がある場合は多額の負債があり、資金よりも借金が多い債務超過の状態であっても、簡単に廃業することはできません。法律上の問題だけでなく、人間関係などさまざまな状況をふまえて可能な範囲で他の家族ともよく話し合って決断することとなるでしょう。

株主が1人で相続放棄をした場合

株主取締役が被相続人1人のみで相続人全員が相続放棄をした場合、株を保有する人が誰もいなくなってしまい、意思決定をすることができなくなってしまいます。

相続人全員が相続放棄をした場合は相続財産管理人を選任し、相続財産管理人から会社を経営する意思のある人が株式を買い取るということはできますが、手続きに時間がかるため、しばらくの間、経営は混乱する可能性が高いです。

放棄をする場合は個人の財産も放棄をすることになる

被相続人が代表を務めていた法人の経営が苦しく、債務が事業用資産を上回っているというケースもあるでしょう。このような場合、相続放棄をすることで、事業用資産と債務について放棄をすることができますが、個人で保有していた自宅の不動産や預貯金などの金融資産も一切取得することができません。個人資産のみ引き継ぐことは認められませんので個人資産も含めて判断を行う必要があります。

相続放棄をする場合は相続発生から3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申立を行う必要があります。相続放棄をする場合は他の相続人にも影響があるため、しっかり伝えておかないとトラブルになる可能性があります。一度トラブルになると弁護士を交えて話し合いをすることも多く解決するまでに時間がかかるケースが多いので早めに検討し、他の相続人に連絡するなどしっかりとした対応を行うようにしましょう。

事業を行っている場合の相続は事前対策が重要

事業を行っている場合、突然経営者が亡くなると取引先や銀行など金融機関への連絡等も行いながら、短い時間で不動産の登記など相続手続を進めることになり、負担がかかります。亡くなった後に手続き進めても間に合わない可能性があるため、事前に確認と準備が重要となるでしょう。

準備の際にまず検討するべきことは財産の配分です。株式や事業用の不動産など引き継ぐ先をあらかじめ決めておかないと後継者を誰にするのかでトラブルになる可能性があります。また、個人で遺す相続財産とのバランスもありますので、決めることは簡単ではないでしょう。

遺産分割で時間がかかると死亡の翌日から原則10ヶ月以内の期限内に申告が必要となる相続税の申告に間に合わない可能性もあります。会社を経営している場合、遺産分割の話し合いに時間がかかるケースが多いので、遺言を作成しておくなど、事前の対策をしておいた方がよいでしょう。

もう一つ行っておきたいことは相続税のシミュレーションです。相続税を計算するために相続財産を一覧にし、一つずつの財産を評価していく必要があります。非上場株式の株主となっている場合、非上場株式の評価方法は非常に複雑ですので、不安がある場合は間違えがないように専門家である税理士に依頼するようにしましょう。初回の相談は無料で応じてくれることが多いので、まずは気軽に電話やメールで連絡をとってみるとよいでしょう。

清澤司法書士事務所では初回の相談は無料でいたしますので、気軽に電話やメールなどで問い合わせください。

この記事の執筆・監修

清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所/中野リーガルホームの代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。

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