相続が開始すると、被相続人の財産を分けるための遺産分割の話し合いや相続税、相続手続きなどさまざまな対応を行う必要があります。
相続はさまざまな問題が複雑に絡みあうため、自身で解決することが難しく専門家に相談したいと考えた時に誰に相談すれば良いか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
当記事では内容によって、誰に何を相談をすればよいか、ポイントや注意点もふまえて説明しますので参考にしてください。
目次
遺産分割で揉めている場合
遺言書が作成されていないケースで、被相続人が亡くなった後に相続人同士で財産配分について揉めている事例では法律の専門家である弁護士に相談し、慎重に対応を行いましょう。
遺産分割は相続人全員で合意をする必要があります。そのため、相続人のうち1人でも納得がいかない人がいる場合、遺産分割協議を完了することができません。相続人の数が多数いる場合や近くに住んでいない場合は時間がかかりますので注意が必要です。
相続人間で財産配分について話し合いをしていると、生前贈与の額の不公平感などで感情的になりやすく、話し合いがうまくいかず争いになることも多いので弁護士を通じて話し合いをするようにしましょう。また弁護士を代理人に立てて話し合いをしても、解決できない状況の場合は家庭裁判所での審判・調停に進めます。
取得する配分に納得がいかず、トラブルに発展する可能性が高い場合は生前に遺言を作成することで紛争を回避し、関係の悪化を防ぎ相続人の負担を減らすことができます。遺言を作成する際も形式的な部分に不備がある場合や、遺留分を侵害していると遺言書とは大きく異なる配分となる可能性があります。家に遺言書を保管をしている場合は親族が発見できない可能性があるというデメリットもあります。
紛失や偽造などのリスクがなく、死後に親族が検索できる公正証書遺言や法務局での保管制度を利用することをおすすめします。また、配分の割合や内容についてもアドバイスをもらう場合は弁護士や司法書士、信託銀行など遺言のアドバイスを行なっている金融機関に相談すると良いでしょう。
不動産の登記などの手続き
配分が決定すると次に、預金や不動産の手続きを進める必要があります。
遺産分割協議は問題なく完了しており、銀行などの金融機関に預けている預貯金の解約、名義変更や法務局での不動産登記など書類の作成や手続きの方法がわからず滞っている場合は司法書士のサポートを受けると良いでしょう。
遺産整理に関する主な手続きを司法書士に依頼することで、相続に関する各種手続きをスムーズに進めることができます。
また、相続手続きに必要な戸籍謄本も司法書士に委任状を渡し、揃えることが可能です。また、遺言書を書く際に遺言執行者として司法書士などの専門家を指定しておき、相続発生後の手続きを依頼することも可能です。手続きを依頼する場合は費用がかかります。一般的に財産の内容や金額によって費用が異なりますので、費用や行われる業務の範囲をしっかりと確認して検討するようにしましょう。
他にも、相続放棄や限定承認などの制度も考慮できる期限が決められていますので、迅速に手続きを進めることが大切です。
手続きの方法がわからない場合も司法書士に相談するとよいでしょう。
相続税の計算、申告手続き
法定相続分を基準に配分を確定し、相続財産の評価額が基礎控除を超える場合は資産に応じて相続税の申告と納税が義務付けられています。遺産の評価や税金の計算、特例の適用可否の判断等は税務の専門家である税理士に相談するようにしましょう。
相続税の申告は複雑なうえ、必ず期限内に申告する必要があります。被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内と期限も短いです。申告を怠った場合は、税務署の職員による税務調査が実施され、不備を指摘されて高額の加算税を請求されるリスクがありますので、慣れていない人は早めに依頼するようにしましょう。
相続税の申告に関する税理士報酬は財産の額や内容によって決まります。不動産など評価に時間がかかる財産が複数ある場合は、税務署に資料を提出する必要がありますので追加の手数料がかかる場合もあります。財産にはあらゆる資産が含まれますので先に土地や建物、預貯金や株式、投資信託などの金融資産をまとめた財産の一覧の表を作り見積もりを依頼すると良いでしょう。税理士に依頼することで、自分では知りえなかった特例なども特例などを適用することができるので、節税につながる場合もあります。税理士にも得意分野がありますので、相続税や関連のある贈与税に強い税理士に依頼するとよいでしょう。
なお、財産の総額が基礎控除以下の場合は相続税の申告は必要ありません。
相続に関するお悩みは専門家に相談を
滞りなく承継の手続きを進めるためにさまざまな知識が必要となり、特に土日しか休みがない人にとっては大変で難しい作業となります。時間がない場合や自分で行うことが不安な場合は早めに専門家に依頼することが重要です。専門的な知識を持つ人に依頼することで安心して間違えなく確実に手続きを進めることができるというメリットがあります。
ただし、専門家に依頼することで費用はかかりますので料金については事前に確認してから正式に依頼する必要があります。まずは気軽に電話やメールで確認すると良いでしょう。
上記の通り士業の中でも関連する業務内容と得意分野が分かれており、複数の分野ごとの専門家にそれぞれサポートを依頼することもありますが、ワンストップでさまざまな相談に対応してもらえる専門家をインターネットで探すことができます。サイトで探し直接連絡するか、最初に依頼した人から他の分野の専門家を紹介してもらうのも一つの方法です。
清澤司法書士事務所では、税理士や弁護士と連携し、司法書士で対応できる業務以外の分野でも経験豊富な各分野の専門家と連携し、相続の全般で皆様の質問にお答えし、お手伝いをさせていただくことが可能です。
この記事の執筆・監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所/中野リーガルホームの代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。