贈与で最も注意すべき点の一つは「贈与税」です。
贈与税には一定の金額が非課税になるさまざまな特例があります。
知っていると知らないとでは大違い。
これらの特例を使うことで、生前贈与にかけられる税金を抑えることができますから・・・
※下記はあくまで参考程度にご覧ください。
贈与をお考えの方一人一人の状況や希望によって、一番良い贈与の方法は違います。
司法書士が税理士とタッグを組み、最善の方法をご提案させていただきます!!
まずは贈与税非課税の基本
1.生活費(家族の扶養や教育費など)の贈与は贈与税対象外
夫婦、親子、兄弟姉妹など扶養家族の間で生活費や教育費として贈与されたものは課税されません。
ただし、生活費や教育費以外の用途で使用したり、数年分をまとめて贈与した場合などは、贈与税が課税されることもありますので、注意が必要です。
2.暦年贈与であれば年間110万円まで非課税
贈与された人1人あたり年間(1/1~12/31)110万円まで非課税
注意点
★客観的な証拠を残しておくことが大切!!
・贈与契約書を作成しましょう
・お金の受け渡しは銀行振り込みの形で明確にしましょう
★毎年同じ金額の贈与は避けましょう
例えば、100万円ずつ5年間贈与した場合、初年度に「500万円を5年分割でもらえる権利」を贈与したとみなされる可能性も!?
そうなった場合、500万円に贈与税が課せられてしまいます。
今年は100万円、来年は110万円など、毎年同じ金額は避けましょう。
3.相続時精算課税制度で一時的に2,500万円まで非課税
条件
原則60歳以上の父母・祖父母と20歳以上の子・孫の間の贈与で適用
★贈与税がかからなくても、申告が必要
相続時精算課税制度は、贈与者が亡くなった後の相続財産と一体として課税する制度です。
同じ贈与者からの贈与は複数年にわたって通算するため、1年目に1,000万円を贈与された場合は、
2年目以降の非課税限度額は1,500万円となります。
注意点
・相続時精算課税制度は一度適用すると撤回不可
・暦年贈与(年間110万円)の非課税枠使用不可
・自宅の小規模宅地等の特例使用不可
・・・
なんだか「不可」ばっかりでデメリットが多そうな・・・と思うこともありますが、
例えば、将来値上がりしそうな財産は、早めに贈与することで、相続税の節税となります。
相続時精算課税制度を適用した場合、「相続時の価額」ではなく、「贈与した当時の価額」に相続税が課税されるからです。
正しく使えば、メリットも大きい制度です。
~こんな特例も~
「おしどり贈与」
配偶者への生前贈与で2,000万円まで非課税!
条件
・夫婦間で居住用の不動産またはその取得資金の贈与
・婚姻期間20年以上の夫婦間
・贈与を受けた人は翌年3/15まで居住が必須
・税額0でも、申告必要
★贈与税がかからなくても、申告が必要
住宅取得資金等の贈与で最大1,200万円まで非課税
条件
父母や祖父母からの住宅取得資金の贈与
受贈者には20歳以上で所得が2,000万円以下など要件あり
購入する住宅にも床面積等の要件あり
★贈与税がかからなくても、申告が必要
教育資金の一括贈与で1,500万円まで非課税
条件
父母や祖父母からの教育資金の一括贈与
「教育資金口座」を開設し、資金を管理
資金を引き出した時は、教育費の領収書を金融機関へ提出
平成31年3月31日までに、30歳未満の人が父母や祖父母など直系尊属から教育資金として一括贈与を受けた場合は、受贈者1人につき1,500万円まで贈与税が非課税となります。このうち、学習塾や習い事など学校以外に支払うものは500万円までが非課税となります。
もともと、扶養している家族に対して支払う教育費に贈与税は課税されませんが、贈与された年に使い切ることが前提です。この制度は、複数年にわたって必要な資金を一括贈与しても非課税になる点が特徴です。
結婚・子育て資金の一括贈与で1,000万円まで非課税
条件
父母や祖父母から結婚・子育て資金の一括贈与
「結婚・子育て資金口座」で資金を管理
資金を引き出した時は結婚・子育て費用の領収書を金融機関に提出
平成31年3月31日までに、20歳以上50歳未満の人が父母や祖父母など直系尊属から結婚や子育ての資金として贈与を受けた場合は、受贈者1人につき1,000万円まで贈与税が非課税となります。このうち、結婚のための資金は300万円までが非課税となります。
もともと、扶養している家族の結婚費用や出産費用は贈与税の課税対象ではありませんが、贈与は結婚や出産のたびに行うことが前提です。この制度は、結婚や子育てのために必要な資金を前もって一括贈与しても贈与税が非課税になる点が特徴です。
上記にあげただけでも、贈与税の特例はさまざまで、使い方を誤ってしまうと、損をすることもあります。
生前贈与をお考えの方は、贈与税に注意するため、専門家への相談が欠かせません。
贈与税に強い税理と、幣事務所司法書士がタッグを組み、一番良い形で贈与できるようお手伝いさせて頂きますのでお気軽にご連絡ください。
この記事の執筆・監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。