「相続」で、いわば「棚ぼた」的に「財産」を譲り受け、うらやましいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしも「得した」とは言えないかもしれません…。
今回は、不動産を相続して放置したときに考えられるリスクやデメリットを挙げ、損をしないための特例や対策をご紹介します。
目次
不動産相続のリスク
不動産の相続によるリスクと、予想されるデメリットの例を挙げてみましょう。
- 売れない田舎の「負動産」
- 最近問題となっている「空家問題」
- 投資用不動産の管理の煩雑さ・家賃の滞納、大規模修繕、空室リスク
- 所有しているだけでも税金がかかる固定資産税・都市計画税の支払いの義務
- 放火や延焼による火災、震災による倒壊、不審者(生き物)の侵入、庭の手入れ、不法投棄など
ざっと挙げただけでも、これだけのリスクがあります。ただ持っているだけでは「損」になってしまう不動産はたくさんあるのです。
今後の活用を予定していない場合は、売却を検討し、将来における「リスク」を今のうちに解消することが大切です。
相続不動産を放置せずに手続きをするメリット
相続した不動産は、そのまま放置せずに相続登記や遺産分割などの手続きをする必要があります。手続きを行う事で得られるメリットをご説明します。
手続きが煩雑になる前に処分できる
相続不動産の売却には、遺産分割や相続登記など、事前に必ずしなければならない手続があります。亡くなった方の名義のままでは、売却をしたり、賃貸に新しく出すことはできません。
相続人が集まれる機会も限られる場合などは、なるべく早いうちに各種の手続きを行うことをお勧めいたします。
特に相続人がご高齢であったり、多数いる場合には、一度タイミングを逃してしまうと後になって手続きが煩雑になったり、そもそも手続きができないということにもなりかねません。
なぜなら、せっかく買主や新しい賃借人がいたとしても、認知症の相続人がいたり、行方不明・連絡の取れない・未成年・海外在住といった相続人がいる場合、すぐには売買契約や賃貸借契約はできず、タイミングを逃してしまうからです。
税金の特例が受けられる
相続後の手続きを正しく行う事により、以下のような税金の特例が受けられます。
- 相続税を支払った場合、相続してから3年10ヶ月以内に売却することにより、取得費加算の特例が使える場合がある。
- 居住用不動産の売却の場合は3,000万円の特別控除が使える場合がある。
- 相続空き家の3,000万円の特別控除が使える場合がある。
不動産も含め相続に関わりたくない場合は相続放棄
借金がなくても、相続にかかわりたくないというだけで、相続放棄の手続きを家庭裁判所にすることは可能です。なお相続放棄は原則3ヶ月以内にする必要があります。
相続の問題は実に複雑です。その人その人に様々な事情があり、手続きもそれぞれ異なってきます。
大きなトラブルを防ぐためには、相続のプロの手を借りることをおすすめします。
不動産の相続手続きでお悩みの方や、相続放棄を検討中の方は、ぜひ一度お気軽に清澤司法書士事務所の初回無料相談をご利用してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆・監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。